
「買った株、いざ売ろうとしたら、思った値段で全然売れなかった…」

「それは『流動性』が低い株だったのかもしれないね。仕組みを知っておこう。」
株式投資では、「いくらで買えるか」ばかりに目が向きがちです。しかし実は、「売りたいときにちゃんと売れるか」も同じくらい大切です。この「売りたいときに、大きく不利な価格にならずに売れるかどうか」の度合いを、流動性と呼びます。この記事では、初心者向けに流動性の意味と、流動性が低い株で起こりやすいこと、銘柄を見るときの3つの確認ポイントを解説します。
なお、本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
流動性とは?「売りたいときに売れる」度合いのこと
流動性とは、株を売り買いしたいときに、取引の相手が十分にいて、スムーズに成立しやすいかどうかを表す言葉です。
- 流動性が高い株:売買する人が多く、希望に近い価格で取引が成立しやすい
- 流動性が低い株:売買する人が少なく、売りたくても買い手がいない、価格が大きく動きやすい
流動性は「その会社が良いか悪いか」とは別の話です。優れた会社でも、取引する人が少なければ流動性は低くなります。
流動性が低い株で起こりやすい3つのこと
1. 売りたくても、買い手がいない
売り注文を出しても、買い手が少ないと取引がなかなか成立しません。値段を下げれば売れることもありますが、それは「希望より不利な価格で売る」ことを意味します。
2. 少しの注文で、価格が大きく動く
取引の量が少ない株は、ひとつの注文で価格が大きく動くことがあります。たとえば、仮の数字で次のようなケースを考えてみましょう。
| 項目 | 流動性が高い株(仮) | 流動性が低い株(仮) |
|---|---|---|
| 買い注文の量 | 多い | 少ない |
| 1,000株の売りを出した場合 | 価格はほとんど動かない | 価格が数%動くこともある |
| 「見えている価格」で売れるか | 売れやすい | 売れないことがある |
※上の表は仕組みを説明するための仮の例であり、実際の銘柄の動きを示すものではありません。
3. 「買値と売値の差」が広がりやすい
売りたい人が提示する価格(売り気配)と、買いたい人が提示する価格(買い気配)の差をスプレッドといいます。流動性が低い株は、このスプレッドが広がりやすく、買った瞬間から実質的なコストが発生したような状態になることがあります。
初心者が銘柄を見るときの3つの確認ポイント
1. 出来高と売買代金を見る
出来高(その日に売買された株数)と売買代金(売買された金額)は、流動性の目安になります。数日分だけでなく、普段の水準を確認しましょう。ある日だけ出来高が増えていても、普段が少なければ流動性が高いとはいえません。
2. 板情報(気配値)の厚みを見る
板情報で、買い注文・売り注文がどれくらい並んでいるかを確認します。注文が薄い(数が少ない、間隔が空いている)場合は、売りたいときに不利な価格になりやすいサインです。
3. 自分の売買量と市場の規模を比べる
自分が売りたい株数が、普段の出来高に対して大きすぎないかを考えます。個人の少額投資なら通常は問題になりにくい一方、流動性の低い銘柄では、少ない株数でも価格に影響することがあります。
流動性は「株」以外にもある
流動性の考え方は、株だけでなく他の商品にも当てはまります。たとえば、取引が少ない小規模な銘柄、純資産総額が小さい投資信託やETF、取り扱う取引所が限られる暗号資産などでは、売りたいときに思うように売れない可能性があります。商品を選ぶときは、「いくら増えそうか」だけでなく、「必要なときに現金に換えられるか」も確認しておくと安心です。
NG行動
- 「値上がりしそう」という期待だけで、出来高が極端に少ない銘柄に全力で投資する
- 売りたい価格に届かないからと、焦って成行注文で一気に売る(不利な価格で成立するおそれがあります)
- 生活防衛資金や近いうちに使うお金を、流動性の低い商品に入れてしまう
- SNSで話題になった小型株を、出来高や板を確認せずに追いかける
まとめ|「いくらで買えるか」だけでなく「売れるか」も見る
流動性とは、売りたいときに売れるかどうかの度合いです。流動性が低い株は、売りたくても売れない、少しの注文で価格が動く、買値と売値の差が広がるといったリスクがあります。銘柄を見るときは、出来高・売買代金、板情報の厚み、自分の売買量との釣り合いの3点を確認しましょう。
そもそも、短期の値上がりを狙うのではなく、長期・分散・積立を基本に、余剰資金の範囲で続けることが大切です。制度や取引ルールは変わることがあるため、最新の情報は日本取引所グループや各証券会社の公式情報でご確認ください。

