複利とは?「72の法則」で見る資産が倍になる年数と、積立で時間を味方にする3つの考え方【初心者向け】

株式投資

結論からお伝えすると、複利とは「得た利益をそのまま元本に組み入れて運用を続けることで、利益が利益を生む仕組み」のことです。時間が長いほど効果が大きくなると言われますが、投資では利回りが毎年一定とは限らず、元本割れの可能性もあります。この記事の数字は仕組みを理解するための試算であり、将来の成果を保証するものではありません。

「複利は人類最大の発明」などの言葉を目にして、なんだかすごそうだけれど、具体的にどういうことなのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。この記事では、複利と単利の違い、資産が倍になる年数をざっくり見積もれる「72の法則」、毎月の積立で時間を味方にするときの考え方を、やさしく整理します。

※本記事は2026年10月時点の一般的な内容です。制度や税制は変わる場合があるため、最新情報は金融庁などの公式サイトでご確認ください。

複利とは?単利との違いを「100万円」の例で理解しましょう

複利の仕組みを理解するには、単利と並べて見るのがいちばん早いです。

  • 単利:元本(最初に預けたお金)に対してだけ、毎回利息が付く仕組みです。
  • 複利:元本に加えて、これまでに付いた利息にも利息が付く仕組みです。

年3%で運用できたと仮定した場合

説明のために、「毎年3%の利益が安定して得られる」という仮定を置きます(現実の投資では毎年一定になることはありません)。元本100万円で、税金や手数料を考えない単純な計算です。

  • 10年後:単利は130万円、複利は約134万円
  • 20年後:単利は160万円、複利は約181万円
  • 30年後:単利は190万円、複利は約243万円

最初のうちは差がわずかですが、年数が長くなるほど差が開いていくことが分かります。複利の効果は、「時間が長いほど大きくなる」ということです。

「10年だとほとんど差がないんですね。」

「そうなんです。複利は最初の数年は地味で、後半に差が出やすい性質があります。だからこそ、早めに・長く続けることが大切だと言われています。」

「72の法則」とは?資産が2倍になる年数をざっくり計算する方法

複利と一緒によく紹介されるのが「72の法則」です。これは、72を年利(%)で割ると、資産が約2倍になるまでの年数の目安が分かるという簡易的な計算方法です。

計算式と具体例

計算式は次のとおりです。

  • 資産が2倍になるまでの年数 ≒ 72 ÷ 年利(%)

たとえば、次のようになります(あくまで目安です)。

年利(仮定)2倍になるまでの目安
2%約36年
3%約24年
5%約14年
7%約10年

実際に年3%の複利で計算し直すと、約23.4年で2倍になります。72の法則による24年とほぼ一致しており、頭の中でざっくり見積もるには便利な目安です。

72の法則を使うときの注意点

72の法則は便利ですが、次の点は押さえておきましょう。

  • 利回りが毎年一定であることが前提です。株式や投資信託の値動きは毎年バラバラで、マイナスの年もあります。
  • 税金・手数料・インフレは考慮していません。実際に手元に残る金額や、お金の価値はもう少し変わります。
  • 高い利回りを仮定すると、現実離れしやすくなります。年利の仮定を大きくするほど、計算上は魅力的に見えますが、それだけ実現が難しい前提になります。

「5%で14年で倍になるなら、5%を目指そう」と考えるよりも、あくまで仕組みを知るための道具として使うのが安全です。

毎月の積立で複利を使うと、どのくらい差が出る?

ここまでは「最初にまとまったお金がある」前提でしたが、現実には毎月コツコツ積み立てる方が多いと思います。毎月3万円を積み立てた場合の試算を見てみましょう。

毎月3万円を積み立てた場合の試算(仮定の利回り)

税金や手数料は考えず、毎月末に3万円を積み立てて、年利が一定で複利運用できたと仮定した計算です(月ごとの利回りに換算しています)。

期間積立元本の合計年0%の場合年3%の場合年5%の場合
10年360万円360万円約419万円約465万円
20年720万円720万円約983万円約1,222万円
30年1,080万円1,080万円約1,740万円約2,456万円

同じ毎月3万円でも、期間が10年から30年に伸びると、運用で増えた部分(元本との差)が大きくなっていくことが分かります。年3%の場合、30年では元本1,080万円に対して約660万円の差が生まれる計算です。

ただし、これはあくまで「毎年一定の利回りが得られた」場合の試算です。実際の投資では、値下がりする年もあり、元本を下回る可能性もあります。この数字を「期待できる金額」と受け取らないようにしてください。

複利を味方にするための3つの考え方

筆者の私見も交えながら、複利の考え方を実生活に落とし込むヒントを3つにまとめます。

考え方1:長く続けられる金額から始める

複利の効果は、「長く続けるほど」大きくなると言われます。そのため、無理して大きな金額を積み立てて途中でやめるよりも、続けられる金額で長く続ける方が、仕組みの恩恵を受けやすいと考えられます。生活費や急な出費に備える「生活防衛資金」を確保したうえで、余剰資金の範囲で始めましょう。

考え方2:コスト(手数料)にも複利が働くと意識する

複利は、増えるときだけでなく、コストにも働きます。たとえば投資信託の運用管理費用(信託報酬)は、毎年資産から差し引かれるため、長期では影響が積み重なります。商品を選ぶときは、利回りの見込みだけでなく、コストも確認する習慣を持つとよいでしょう。

考え方3:途中で慌てて止めない

相場が大きく下がると、「このまま続けて大丈夫かな」と不安になるのは自然なことです。ただ、下がった局面で慌ててやめてしまうと、その後の回復による恩恵を受けられなくなる可能性があります。事前に「いくらまで下がっても生活に影響しないか」を確認し、ルールを決めておくと、気持ちが揺れにくくなります。

「複利って、いつ始めても同じように効果がありますか?」

「始める時期が早いほど、時間を長く使える分、効果が出やすいと言われます。ただ、遅いからといって意味がないわけではありません。ご自身のペースで、今できる金額から検討してみてください。」

複利の効果が弱まってしまう3つのケース

複利は「長く・安定して」働くほど力を発揮しますが、次のような場面では効果が弱まったり、思ったように働かなかったりします。

ケース1:運用の途中で資金を引き出す

利益や元本を途中で引き出すと、その分だけ元本が小さくなり、その後に付く利益も小さくなります。たとえば、増えた分を毎年使ってしまうと、複利ではなく単利に近い形になります。使う予定のあるお金と、長く運用するお金は、あらかじめ分けて考えておきましょう。

ケース2:大きな値下がりを経験する

投資の値動きは毎年一定ではありません。たとえば資産が一時的に半分になると、元に戻すには倍にする必要があります。値下がりの幅が大きいほど、回復に時間がかかるため、複利の計算どおりには進みません。だからこそ、値動きの大きさに耐えられる範囲で、分散を心がけることが大切だと考えられています。

ケース3:インフレや税金・コストで目減りする

額面上の金額が増えても、物価が上がれば、お金の実質的な価値は下がります。また、税金や手数料が差し引かれると、手元に残る金額は試算より少なくなります。複利の試算を見るときは、「名目の金額」と「実質の価値」は別物だという視点を持っておくと、過度な期待を避けられます。

「試算どおりに増えるわけではないんですね。」

「はい。試算はあくまで仕組みを理解するためのものです。実際の結果は、相場や税金、コスト、ご自身の続け方で変わります。」

NISAと複利の関係は?非課税のメリットと注意点

運用で得た利益には、通常、税金がかかります。NISA(少額投資非課税制度)は、一定の範囲内で得た利益が非課税になる制度で、利益から税金が差し引かれにくい分、複利の効果を活かしやすいと言われています。

📰 出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」

ただし、NISAは「必ず増える制度」ではありません。投資対象の価格が下がれば、元本割れすることもあります。また、制度の内容(年間の投資枠や保有限度額など)は改正される場合があるため、利用前に金融庁の公式情報や金融機関の説明を確認してください。

複利でやってしまいがちなNG行動

複利の話は魅力的に聞こえるため、次のような行動に注意しましょう。

  • 高い利回りを前提に計画を立てる:「年10%で運用できれば」など、実現が難しい仮定に基づく計画は、途中で行き詰まりやすくなります。
  • 「複利で必ず増える」と思い込む:複利はあくまで仕組みであり、利益が出なければ働きません。マイナスの年もあり得ます。
  • 高利回りをうたう勧誘に飛びつく:「複利でみるみる増える」「元本保証で高利回り」といった話は、詐欺の典型的なトークとして知られています。金融庁に登録された事業者かどうかも確認してください。
  • 生活費まで積立に回す:途中で必要になって売却すると、安いタイミングで売ることになり、損失が確定してしまうおそれがあります。

まとめ:複利は「時間」が主役。でも保証はないので、冷静に

この記事のポイントを振り返ります。

  • 複利は、利益を元本に組み入れて運用することで、利益が利益を生む仕組みです。
  • 単利と複利の差は、年数が長くなるほど大きくなります。
  • 72の法則(72÷年利)は、資産が2倍になる年数をざっくり見積もる便利な目安ですが、利回りが一定という前提です。
  • 毎月の積立でも、期間が長いほど運用による差が大きくなる試算になりますが、実際には元本割れの可能性もあります。
  • 長く続けられる金額から始め、コストを意識し、慌てて止めないことが大切です。

複利の効果は、あくまで「時間」と「継続」が主役です。短期間で大きく増やそうとするのではなく、ご自身の生活を守りながら、無理のない範囲で長く続けられる方法を考えてみてください。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。記事内の試算は一例であり、将来の成果を保証するものではありません。

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