NISA口座を開いたものの、「手数料やサービスが合わない」「使いたい投資信託が別の証券会社にしかない」と感じることはありませんか。結論から言うと、NISAの金融機関は変更できますが、「年単位」のルールがあり、すでに買った商品が自動で引っ越すわけではありません。この記事では、NISAの金融機関を変更する流れと、慌てないための注意点を初心者向けに整理します。
※本記事は2026年10月時点の一般的な制度の説明です。制度や各社の手続きは変更されることがあるため、最新の情報は金融庁や各金融機関の公式サイトをご確認ください。
📰 出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」
NISAの金融機関変更とは?まず押さえたい基本ルール
NISA口座は、1人につき1つの金融機関でしか開設できません。ここでいう「金融機関」は、証券会社・銀行などのことです。つまり、A証券とB証券の両方でNISAを使う、ということはできません。
そのため、使う金融機関を変えたい場合は、「金融機関の変更」という手続きをします。ポイントは次の3つです。
- 変更は「年単位」で行う(その年の途中で、同じ年のうちに別の金融機関へ切り替えることはできないのが原則)
- すでに買った商品は、変更前の金融機関に残る(自動で移らない)
- 変更するには、新しい金融機関での手続きと、変更前の金融機関の口座の取り扱いを確認する必要がある
「引っ越し」というより、「来年からの買い付け先を切り替える」イメージを持つと分かりやすいでしょう。
変更の流れを4ステップで確認
細かい手順や必要書類は金融機関ごとに異なります。ここでは一般的な流れを紹介します。
ステップ1:変更したい年と、手続きの期限を確認する
金融機関の変更は、「いつの年分から変えたいか」を決めたうえで、手続きの受付期間内に申し込みます。一般的に、変更したい年の前年10月1日ごろから受付が始まる、と案内されることが多いです。ちょうど今の時期は、来年分の変更手続きが始まるタイミングにあたります。
受付の開始日や締め切りは金融機関によって異なるため、必ず公式サイトで確認してください。
ステップ2:変更したい年に、すでに買い付けをしていないか確認する
その年にNISAで買い付けをしている場合、その年の金融機関変更はできないのが原則です。たとえば、今年すでに積立設定が動いていて買い付けが済んでいれば、今年分の変更は難しく、来年分からの変更になるのが一般的です。
ステップ3:新しい金融機関で、NISA口座の変更を申し込む
変更先の金融機関で、NISA口座の開設を申し込みます。このとき、変更前の金融機関が発行する書類(勘定廃止通知書など)が必要になる場合があります。取り寄せには日数がかかることがあるため、余裕をもって早めに動くことが大切です。
ステップ4:積立設定や、これまでの保有分の扱いを確認する
変更が完了したら、次の2点を確認します。
- 新しい金融機関で、積立設定をやり直す(変更前の積立設定は自動で引き継がれません)
- 変更前の金融機関に残っている商品の扱いを確認する(保有を続けるか、売却するか)
変更前に買った商品は、どうなる?
多くの方が気になるのが、「これまで買った分はどうなるの?」という点です。
| 項目 | 一般的な扱い |
|---|---|
| 変更前に買った商品 | 変更前の金融機関に残り、保有を続けられる |
| 非課税で保有できる期間 | NISA(新制度)の非課税保有期間は無期限 |
| 売却する場合 | 変更前の金融機関で売却の手続きをする |
| 別の金融機関へ移す | NISA内の商品を、そのまま別の金融機関へ移す(移管する)ことは基本的にできない |
NISA内の商品を別の金融機関に移したい場合、いったん売却する必要があります。ただし、売却すると価格が変動した影響を確定させることになるほか、非課税枠の復活のタイミングにも注意が必要です(枠が復活するのは売却した翌年以降)。売却するかどうかは、慌てずに判断しましょう。
金融機関を変えたくなる主な理由と、見直しのポイント
変更を考えるときは、「なんとなく不便」ではなく、具体的に何を変えたいのかを整理すると失敗しにくくなります。
- 取扱商品:積み立てたい投資信託や、買いたい銘柄を扱っているか
- 手数料:売買手数料、為替手数料、投資信託の信託報酬など(※信託報酬はどの金融機関で買っても同じ商品なら基本的に同じです)
- 積立の方法:毎日・毎週・毎月などの頻度、クレジットカード積立の有無、積立可能な最低金額
- 使いやすさ:アプリや画面の見やすさ、サポート体制
- ポイント還元:ポイントの種類や還元率(内容は改定されることがあります)
大切なのは、「ポイントが多い」「今だけ」といった目先の条件だけで決めないことです。長く使う口座だからこそ、取扱商品と使いやすさを優先して考えるのが現実的です。
やりがちなNG行動・注意点
1. 変更の手続きが間に合わず、年をまたいでしまう
手続きには、書類の取り寄せや審査で日数がかかります。年末ぎりぎりに動くと、希望の年に間に合わないことがあります。余裕をもって早めに確認しましょう。
2. 積立設定のやり直しを忘れる
変更後に積立設定をしないままにすると、気づかないうちに積立が止まっていることがあります。変更が完了したら、新しい金融機関で積立が設定されているか必ず確認してください。
3. 乗り換えのために、焦って保有商品を売る
「口座を変えるなら、持っている商品を全部売らなければ」と考える必要はありません。売却すると、そのときの価格で損益が確定しますし、非課税枠の復活も翌年以降になります。保有を続けながら、新しい金額分だけ新しい金融機関で積み立てるという選択もあります。
4. 「今の金融機関を変えれば、利益が増える」と思い込む
金融機関を変えても、運用成績が良くなるとは限りません。投資信託や株式は価格が変動し、元本割れの可能性があります。手数料やサービスの違いは「コストや使いやすさ」の話であり、成績を保証するものではありません。
5. 偽の「NISA変更手続き」の案内に注意
NISAの手続きをかたるフィッシングメールやSMSに注意が必要です。メールやSMS内のリンクは開かず、公式アプリや公式サイトからログインして確認しましょう。ID・パスワードや暗証番号を聞かれても、入力しないでください。
変更するか迷ったときの判断のコツ
迷ったときは、次の3つの質問を自分に投げかけてみてください。
- 今の金融機関で、買いたい商品や積立方法が実現できないか?
- 変更によって、手続きの手間や保有分の管理が増えることを許容できるか?
- 変更しなくても、同じ目的を別の方法で実現できないか(積立金額の見直し、商品の見直しなど)?
「少し不便だけれど、続けられている」なら、無理に変えない選択も十分にあります。NISAで大切なのは、長期・分散・積立を、無理なく続けることです。
まとめ:NISAの金融機関変更は「年単位」で、早めの確認を
- NISA口座は1人1つの金融機関で、変更は「年単位」で行う
- 変更前に買った商品は、自動では移らず、変更前の金融機関に残る
- 手続きには日数がかかるため、受付開始時期や必要書類を早めに確認する
- 変更後は、積立設定の確認を忘れない
- 乗り換えのために焦って売却せず、保有を続ける選択肢も検討する
NISAは、制度や各社のサービスが変わることがあります。変更を考えたら、まず現在の金融機関と変更先の公式サイトで、最新の手続きを確認することから始めてみてください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融機関・金融商品の利用や購入・売却を推奨するものではありません。投資信託や株式は価格変動により元本割れの可能性があります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

