
「NISAを始めようと思ったけど、個別株と投資信託、結局どっちを買えばいいの?」

「有名企業の株を買ってみたい気もするけど、値下がりが怖くて踏み出せない…」
結論から言うと、投資の知識や値動きのチェックにあまり時間をかけられない初心者の方は、 まず「投資信託(できれば積立)」から始め、慣れてきたら余裕資金の一部で個別株に 挑戦してみる、という順番が無理のない選び方です。ただし、どちらも元本保証はなく、 値下がりして投資したお金より少なくなる可能性がある点は共通しています。 この記事では、個別株と投資信託それぞれの特徴と、初心者がどちらから始めるかを 判断するための考え方を整理します。
なぜ「どちらから始めるべきか」で悩むのか
NISA制度には「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、成長投資枠では個別株・ 投資信託・ETF・REITなど複数の商品を選べます。選択肢が多い分、投資が初めての方ほど 「結局どれを選べば失敗しないのか」で迷いやすくなります。
📰 出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品」
なお、つみたて投資枠で購入できるのは、長期・積立・分散投資に適した一定の基準を 満たす投資信託に限られており、個別株はつみたて投資枠の対象には含まれません。 個別株を選ぶ場合は成長投資枠を使うことになります(※制度内容は変更される場合が あるため、最新情報は金融庁の公式サイトでご確認ください)。
実際にどちらが多く選ばれているかというと、次のようなデータもあります。
📰 出典:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」
金融庁が公表した調査結果によると、2025年6月末時点の成長投資枠における商品別 買付額の内訳は、上場株式(個別株)とおよそ投資信託がほぼ同水準となっており、 両者はいずれも多くの利用者に選ばれていることが分かります。ただし内訳の割合は 時期によって変わるため、最新の数値は金融庁の公式発表でご確認ください。
つまり「どちらが正解」というものではなく、投資に使える時間・知識・目的によって 向き不向きが変わる、という前提で考えることが大切です。
個別株と投資信託、それぞれの特徴
判断基準を考える前に、まず基本的な違いを整理しておきましょう。
投資信託の特徴
- 一つの商品を買うだけで、多数の銘柄に分散投資できる
- 銘柄選びや値動きの分析を専門家(運用会社)に任せられる
- つみたて投資枠を使えば、少額からの自動積立がしやすい
- 信託報酬(保有中の運用管理費用)が継続的にかかる
- 値動きは個別株より緩やかになりやすいが、元本保証ではない
個別株の特徴
- 応援したい企業や身近な商品を扱う会社に直接投資できる
- 配当金や株主優待を受け取れる銘柄もある
- 値上がり益(キャピタルゲイン)が大きくなる可能性がある一方、値下がり幅も
投資信託より大きくなりやすい
- 1社に集中投資すると、その会社の業績悪化がそのまま資産に直結する
(分散投資の考え方に反しやすい)
- 銘柄選び・決算情報のチェックなど、継続的な情報収集がある程度必要
一般的に、投資の基本は「長期・分散・積立」とされています。1社に絞る個別株は、 どうしても分散の効果が限定的になりやすい点は、初心者のうちは特に意識しておきたい ポイントです。
初心者が判断するための5つの考え方
「どちらから始めるか」を考える際の目安を5つ紹介します。あくまで一般的な考え方の 整理であり、特定の商品や銘柄を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の 状況に合わせて行ってください。
1. 値動きのチェックにどれくらい時間をかけられるか
仕事や家事で忙しく、日々の値動きや企業のニュースを追いかける時間が取りにくい方は、 運用の手間が少ない投資信託(特に積立)のほうが続けやすい傾向があります。逆に、 決算資料や企業ニュースをチェックするのが苦にならない方は、個別株にも挑戦しやすい と言えます。
2. いくつの投資先に分散したいか
少額からでも複数の銘柄・地域に分散したい場合、投資信託は1本で数十〜数千銘柄に 分散できる商品もあり、効率的です。個別株で同程度に分散しようとすると、まとまった 資金と銘柄選びの手間が必要になります。
3. 「値下がりしたときの気持ち」をイメージできているか
一般的に、個別株は投資信託よりも値動きの幅(ボラティリティ)が大きくなりやすいと 言われています。値下がり時に慌てて売ってしまう(狼狽売り)と、かえって損失を 確定させてしまうこともあります。値下がり局面を想像し、それでも保有し続けられそうか を事前に考えておくことが大切です。
4. 非課税枠をどう使い分けたいか
つみたて投資枠は投資信託のみが対象、成長投資枠は個別株・投資信託どちらも選べます。 「まずはつみたて投資枠で投資信託の積立を始め、慣れてきたら成長投資枠で個別株にも 挑戦する」という順番であれば、無理なく段階を踏めます。
5. 「応援したい」気持ちを優先したいかどうか
配当金や株主優待、企業の成長を応援したい気持ちが強い場合は、投資信託にはない 個別株ならではの魅力があります。ただし、その場合も生活費や当面使う予定のお金では なく、余剰資金の範囲にとどめることが前提です。
実践する際の注意点・リスク
個別株・投資信託のどちらを選ぶ場合でも、次の点には必ず注意してください。
- 元本保証ではない:投資信託・個別株のいずれも、購入時より値下がりし、
投資した金額を下回る(元本割れする)可能性があります。「絶対に増える」 「必ず儲かる」といった商品は存在しません。
- 個別株の集中投資リスク:1〜2銘柄に資金を集中させると、その企業の業績悪化や
不祥事の影響を直接受けます。個別株に挑戦する場合も、資産全体の一部にとどめ、 投資信託や複数銘柄への分散も併用することが望ましいとされています。
- SNSの「おすすめ銘柄」を鵜呑みにしない:SNS上では特定の銘柄を「今が買い」と
煽るような投稿が見られることがありますが、個別の売買タイミングの助言は 投資助言業の登録が必要な行為であり、本記事でも特定銘柄の売買を推奨することは ありません。判断材料の一つとして参考にする程度にとどめ、最終判断はご自身で 行ってください。
- 手数料・信託報酬の確認:投資信託は信託報酬、個別株は売買委託手数料が
かかります(証券会社やプランによって異なります)。執筆時点(2026年9月)の 情報のため、最新の手数料体系は各証券会社の公式サイトでご確認ください。
- 税制は変わる可能性がある:NISAの制度内容・非課税枠は将来変更される
可能性があります。投資判断の前に、必ず金融庁や証券会社の最新情報を確認して ください。
まとめ 迷ったら「分散しやすい方」から無理のない一歩を
個別株と投資信託は、どちらが優れているというものではなく、かけられる時間や 知識、分散したい度合いによって向き不向きが変わります。初心者のうちは、 値動きのチェックに時間を割きにくい方ほど、分散効果の高い投資信託(積立)から 始め、慣れてきたら余剰資金の範囲で個別株にも挑戦してみる、という順番が 無理のない進め方です。
どちらを選ぶ場合も、元本割れのリスクがあることを理解したうえで、生活費とは 別の余剰資金で、自分のペースで取り組むことが大切です。本記事は情報提供を 目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。 投資は自己責任で、ご自身の状況に合わせて判断してください。

