騰落レシオとは?「120%は買われすぎ」の意味と初心者が指標を鵜呑みにしないための注意点

株式投資

「ニュースで『騰落レシオが120%を超えて過熱感が出ている』って聞いたんだけど、何の数字なの?」

「個別銘柄の指標じゃなくて、市場全体の話みたいだけど、どう使えばいいんだろう…」

結論から言うと、騰落レシオとは「一定期間の値上がり銘柄数」と「値下がり銘柄数」の比率から、市場全体が買われすぎ・売られすぎのどちらに偏っているかを見る指標です。個別企業の業績や財務を見るPER・PBRとは異なり、市場参加者の熱狂度合いを測る「市場の体温計」のような位置づけとされています。この記事では、騰落レシオの計算式と一般的な目安、初心者が気をつけたいポイントを整理します。

※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・相場の売買タイミングを推奨するものではありません。指標の見方は判断材料の一つであり、投資の最終判断はご自身の責任で、余剰資金の範囲で行ってください。株式投資には元本割れのリスクがあります。

前提知識 なぜ「市場全体の熱狂度」を見る指標が必要なのか

株式投資の入門書では、まずPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)のような、個別企業の株価水準を見る指標を学ぶことが多いはずです。しかし、いくら割安に見える会社であっても、市場全体が「買われすぎ」の状態にあるときに新たに買いを入れると、その後の反動安に巻き込まれやすくなるという考え方があります。

こうした「市場全体の温度感」を確認するために使われる指標のひとつが、騰落レシオです。個別銘柄の良し悪しとは別に、相場全体がどちらかに偏りすぎていないかを把握する視点を持つことは、判断材料の幅を広げることにつながります。

騰落レシオとは?計算式と一般的な目安

騰落レシオの計算式

騰落レシオは、一定期間における値上がり銘柄数の合計を、値下がり銘柄数の合計で割り、100を掛けて算出されます。

  • 騰落レシオ(%) = 一定期間の値上がり銘柄数の合計 ÷ 一定期間の値下がり銘柄数の合計 × 100

[引用元:騰落レシオとは?計算方法や目安、見方、投資で活用する際の注意点を解説|マネーサテライト(松井証券)|https://www.matsui.co.jp/money-satellite/column/beginner/stock/cl-up-down-ratio.html]によると、一般的には25日間の値上がり・値下がり銘柄数を使った「25日騰落レシオ」がよく使われるとされています。

たとえば、直近25日間で値上がり銘柄の合計が1500、値下がり銘柄の合計が1000だった場合、騰落レシオは「1500 ÷ 1000 × 100 = 150%」となります。逆に値上がりより値下がりの銘柄数が多ければ、100%を下回る数値になります。

「120%」「70%」という一般的な目安

騰落レシオの数値をどう読むかについては、複数の証券会社の用語解説などで、おおむね次のような目安が紹介されています。

  • 100%前後:値上がり銘柄数と値下がり銘柄数がおおむね拮抗している状態
  • 120%を上回る:値上がり銘柄が多く、相場が「買われすぎ」の水準に近づいているとされる
  • 70%を下回る:値下がり銘柄が多く、相場が「売られすぎ」の水準に近づいているとされる

[引用元:騰落レシオ(とうらくレシオ)|証券用語集(東海東京証券)|https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_1774.html]でも、120%程度が買われすぎ、70%程度が売られすぎの目安として紹介されています。ただし、この数値はあくまで一般的な経験則にすぎず、相場環境によって適切な水準が変わり得る点には注意が必要です。

PER・PBRとの違い 「個別企業」を見るか「市場全体」を見るか

騰落レシオは、PERやPBRのような個別企業の指標とは、見ている対象がそもそも異なります。

| 指標 | 見ている対象 | 特徴 | |—|—|—| | PER・PBR | 個別企業の利益・純資産に対する株価水準 | その会社固有の割安・割高を確認する指標 | | 騰落レシオ | 市場全体の値上がり・値下がり銘柄数の比率 | 相場全体の過熱・冷え込み具合を確認する指標 |

たとえば、ある会社のPERが割安な水準にあったとしても、市場全体の騰落レシオが120%を大きく上回っている局面では、相場全体の調整(下落)に巻き込まれて株価が下がる可能性もあります。逆に、市場全体が70%を下回るような売られすぎの局面で、個別に業績の良い会社を見つけられれば、それも一つの判断材料になり得ます。このように、個別企業の指標と市場全体の指標を組み合わせて確認することで、より多角的な視点を持つことができます。

騰落レシオの具体的な確認方法 4つのステップ

  1. 証券会社の投資情報サイトやマーケット情報ページで、東証プライム市場などの「騰落レシオ」の数値を確認する(多くの証券会社サイトやチャートツールで無料公開されている)
  2. 何日間(25日間が一般的)の数値を使っているかを確認する(期間によって数値の出方が変わる)
  3. 現在の数値が100%を基準にどちらに偏っているか、120%・70%の目安と照らし合わせて確認する
  4. 単独の数値だけで判断せず、日経平均株価やTOPIXなど他の指数の値動きともあわせて確認する

架空の場面で考える 騰落レシオの見え方

数字だけでは分かりにくいので、架空のA相場・B相場を例に、騰落レシオがどのように変化するかを整理してみます。あくまで説明のための架空の数値であり、実際の相場を示すものではありません。

| 項目 | A相場(値上がり優勢のイメージ) | B相場(値下がり優勢のイメージ) | |—|—|—| | 25日間の値上がり銘柄数合計 | 1800 | 900 | | 25日間の値下がり銘柄数合計 | 1200 | 1500 | | 騰落レシオ | 150% | 60% |

A相場は150%と「買われすぎ」の目安である120%を上回っており、短期的な過熱感が意識されやすい局面といえます。一方、B相場は60%と「売られすぎ」の目安である70%を下回っており、相場全体が弱含んでいる局面といえます。ただし、いずれの場合も「その後どちらに動くか」を断定するものではなく、あくまで現時点の市場の偏りを示す参考値にすぎません。

初心者がやりがちなNG行動・失敗例

  • 「騰落レシオが120%を超えた=もうすぐ暴落する」と断定し、根拠なく保有株をすべて売却してしまう
  • 「70%を割った=今が絶好の買い場」と決めつけ、余剰資金の範囲を超えて一括投資してしまう
  • どの期間(25日か、それ以外か)の数値を見ているか確認せず、SNS等で見かけた数値だけを鵜呑みにする
  • 騰落レシオだけを根拠に、積立投資の金額やタイミングを頻繁に変更してしまう
  • 個別銘柄選びに、市場全体の指標である騰落レシオをそのまま当てはめてしまう

リスクと注意点(必ず入れる)

騰落レシオはあくまで過去から現在までの値上がり・値下がり銘柄数を集計した結果であり、将来の相場がどちらに動くかを保証するものではありません。120%を超えたあとも上昇が続くことや、70%を下回ったあとにさらに下落が続くことも実際には起こり得ます。「◯%を超えたから必ず反落する」「◯%を下回ったから必ず反発する」といった断定的な考え方は避けたほうが無難です。

また、騰落レシオは値上がり・値下がりの「銘柄数」を数える指標であるため、値動きの「大きさ」までは反映されません。一部の値がさ株が大きく動いた場合の指数全体の動きとは、必ずしも一致しない点にも注意が必要です。騰落レシオだけを根拠に売買タイミングを判断するのではなく、他の指標やニュース、自分自身の投資方針とあわせて総合的に確認することが大切です。

株式投資には元本割れのリスクが常にあります。特定の指標や短期的な相場観に偏った投資判断をするのではなく、業種・地域・時間を分散させながら、長期的な視点で資産形成に取り組むことが大切です。

なお、本記事で紹介した目安や考え方は執筆時点(2026年8月)の一般的な解説に基づくものです。実際の投資判断にあたっては、証券会社や日本取引所グループなど公式情報もあわせてご確認ください。

まとめ 「市場全体の体温計」として、一つの参考値にとどめよう

騰落レシオは、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、相場全体の過熱感・冷え込み具合を確認できる指標です。120%を超えると買われすぎ、70%を下回ると売られすぎの目安とされていますが、これらの数値はあくまで経験則にすぎず、その後の値動きを保証するものではありません。個別企業を見るPER・PBRとはまた違う「市場全体」という視点を持ちつつ、一つの指標に頼りきらず、長期・分散・積立を基本とした資産形成の方針を大きくぶらさないことが大切です。

タイトルとURLをコピーしました