
「2023年までに一般NISAやつみたてNISAを始めたけど、非課税期間が終わったらどうなるんだろう…」

「新NISAにそのまま移せばいいと思ってたけど、違うって聞いて不安になったよ」
結論から言うと、2023年までの制度である「旧NISA」(一般NISA・つみたてNISA)で保有している商品は、新NISAへ移す(ロールオーバーする)ことはできません。非課税期間が終了すると、原則としてそのまま自動的に課税口座(特定口座または一般口座)へ払い出され、以降の値上がり益には課税されるようになります。慌てて売る必要はありませんが、「自分の非課税期間がいつまでなのか」「終了時にどうするか」を早めに把握しておくことが大切です。この記事では、旧NISAの非課税期間が終わったときに起きること、新NISAとの違い、今からできる準備について、初心者向けに整理して解説します。
※ 本記事は2026年8月執筆時点の制度に基づく一般的な解説です。NISA制度・税制は変更される可能性があるため、最新の内容は必ず金融庁や利用している金融機関の公式情報でご確認ください。また、本記事は特定の金融商品の売買や特定の対応方法を推奨するものではありません。
そもそも「旧NISA」とは? 新NISAとの違いをおさらい
一般NISAは5年、つみたてNISAは20年で非課税期間が終わる
2023年までの制度である一般NISAは、購入した年から5年間、つみたてNISAは購入した年から20年間、その商品の値上がり益や配当・分配金が非課税になる仕組みでした。裏を返せば、この期間には「期限」があり、期限を過ぎると非課税の恩恵は続かないという制度設計になっています。
2024年以降の新NISAは非課税保有期間が無期限に
2024年から始まった新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)では、非課税で保有できる期間に期限がなくなりました。生涯にわたって使える非課税限度額(生涯投資枠)は、つみたて投資枠・成長投資枠を合わせて1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)とされています。
📰 出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
旧NISAと新NISAは「別の箱」として扱われる
新NISAは、旧NISAの制度を単純に延長・拡張したものではなく、別枠の新しい制度として設計されています。そのため、2023年までに旧NISAで保有していた商品と、2024年以降に新NISAで購入した商品は、口座の中で別々に管理されるとイメージしておくと分かりやすいでしょう。
旧NISAの非課税期間が終わったらどうなる? 結論は「自動的に課税口座へ払い出し」
新NISAへのロールオーバー(移管)はできない
以前の一般NISAには、非課税期間が終わる際に翌年の非課税枠へ商品を持ち越す「ロールオーバー」という仕組みがありました。しかし、2024年以降の新NISA制度が始まったことに伴い、このロールオーバーの仕組みは終了しています。つまり、旧NISAで保有している商品を、非課税期間が終わったタイミングで新NISAの非課税枠へそのまま移す、ということはできません。
何もしなければ、時価で課税口座へ払い出される
非課税期間が終了する時点で特に手続きをしなければ、保有している商品は自動的に課税口座(特定口座または一般口座)へ払い出されます。このとき重要なのは、払い出された時点の時価が、課税口座における新しい「取得価格」として扱われる点です。つまり、非課税期間中にどれだけ値上がりしていても、そこまでの利益には課税されず、払い出し後の値動きから新たに課税対象の損益がカウントされ直す、という仕組みになっています。
払い出し後に値下がりすると「見た目の損」が生まれることもある
払い出し時の時価が新しい取得価格になるため、たとえば非課税期間中に大きく値上がりしたあと、払い出し直前に値下がりしていた場合、実際に投資したお金の額(当初の購入金額)よりも高い価格が「取得価格」として引き継がれることがあります。この状態でその後さらに値下がりして売却すると、税務上は「損失」として計算されるものの、投資した金額全体で見れば必ずしも損をしているとは限らない、というねじれが生じることもあります。制度の仕組みとして理解しておきたいポイントです。
非課税期間の終了までに考えておきたい3つの選択肢
旧NISAで保有している商品は、非課税期間が終わるまでに大きく分けて次の3つの選択肢があります。それぞれの特徴を整理します。
| 選択肢 | 内容 | 考えられるメリット | 考えられる注意点 | |—|—|—|—| | 非課税期間中に売却する | 期限が来る前に自分の判断で売却する | 非課税のまま利益を確定できる | 売却タイミングの値動き次第で受取額が変わる | | 何もせず課税口座へ払い出す | 期限まで保有を続け、自動的に払い出す | 手続きが不要で、そのまま保有を続けられる | 払い出し後の値上がり分には課税される | | 新NISAの枠で買い直す | 課税口座に払い出された商品を売却し、新NISA枠で改めて購入する | 新たに非課税のメリットを受けられる | 一度売却・買い直す形になるため、値動きや手数料の影響を受ける |
どの選択肢が良いかは、資金を使う予定の時期や、非課税枠の残り具合、値動きの状況によって変わります。特定の方法を一律におすすめするものではなく、自分の状況に合わせて考える材料として捉えてください。
「新NISA枠で買い直す」は新規購入という扱いになる点に注意
課税口座に払い出された商品を新NISAの非課税枠で改めて購入する場合、それは制度上あくまで「新しい買い付け」として扱われます。旧NISAでの保有期間や損益がそのまま引き継がれるわけではなく、いったん課税口座で売却し、新NISA口座で買い直すという2段階の取引になる点は理解しておく必要があります。また、新NISAの非課税枠にも上限があるため、保有している金額によっては枠に収まりきらない場合もあります。
具体的な数字でイメージをつかむ(あくまで一例)
制度の仕組みをイメージしやすいように、簡単な数字の例で考えてみます(将来の運用成果や税額を保証する試算ではありません)。
- 一般NISAで100万円分の商品を購入し、非課税期間の終了時点で時価が150万円に値上がりしていたケース
- この場合、非課税期間中の値上がり分50万円には課税されず、払い出し後は「150万円」が新しい取得価格として引き継がれます
- 払い出し後にさらに値上がりして180万円で売却した場合、課税対象になるのは払い出し後に増えた30万円分のみです
- 逆に、払い出し後に値下がりして120万円で売却した場合、税務上は「30万円の損失」として扱われますが、当初の購入金額100万円との比較では20万円のプラスであることに変わりはありません
このように、非課税期間中にどれだけ値上がりしていたかによって、払い出し後の税務上の扱われ方が変わってくる点は、あらかじめ知っておくと混乱を避けやすくなります。
よくある疑問 Q&A
Q. ジュニアNISAも同じ仕組みになる?
ジュニアNISA(未成年者向けの制度)も2023年で新規の投資はできなくなっており、非課税期間の考え方は一般NISA・つみたてNISAと共通する部分があります。ただし、払い出しのタイミングや手続きの詳細は制度・金融機関によって異なる場合があるため、対象となる方は口座を開設している金融機関の案内を個別に確認することをおすすめします。
Q. 旧NISAで出た損失は、新NISAの利益と相殺(損益通算)できる?
NISA制度全体の特徴として、NISA口座内で生じた売却損は、そもそも税務上「損失」として扱われず、他の口座の利益や損失と相殺する損益通算の対象にはなりません。これは旧NISA・新NISAのどちらの口座であっても共通する考え方であり、非課税というメリットの裏返しとして理解しておくとよいでしょう。
Q. 非課税期間が終わるタイミングは、金融機関から知らせてくれる?
多くの証券会社・銀行では、非課税期間の終了が近づくと案内やお知らせを送っている場合がありますが、通知の有無やタイミングは金融機関によって異なります。案内を待つだけでなく、自分でも取引報告書やNISA口座管理画面で終了時期を確認しておくと安心です。
旧NISA保有者がやりがちなNG行動
- 非課税期間の終了間際になって慌てて売却する: 「非課税のうちに」と焦って売却すると、たまたま値下がりしているタイミングと重なってしまうこともあります
- 自分の非課税期間がいつ終わるか把握していない: 一般NISAは購入年から5年、つみたてNISAは購入年から20年という期限があるにもかかわらず、確認しないまま放置してしまうケースがあります
- 「勝手にロールオーバーされる」と誤解している: 前述の通り、現在はロールオーバーの仕組み自体が終了しているため、何もしなければ課税口座へ払い出される点を誤解しないようにしましょう
- SNSの「今すぐ売るべき」「持ち続けるべき」といった断定的な意見をそのまま鵜呑みにする: 資金の使い道や非課税枠の状況は人によって異なるため、一般論をそのまま自分に当てはめるのは避けたいところです
今からできる準備・チェックリスト
1. 自分の非課税期間がいつ終わるかを確認する
まずは、証券会社や銀行のNISA口座管理画面、または取引報告書・年間取引報告書などで、保有している旧NISAの商品ごとに非課税期間の終了年を確認しましょう。一般NISAは購入した年を含めて5年目の年末、つみたてNISAは購入した年を含めて20年目の年末が非課税期間の終了時期の目安です。
2. 金融機関に「払い出し後の取り扱い」を確認する
払い出し後にどの口座(特定口座か一般口座か)に移されるのか、事前にどのような通知が来るのかは、利用している金融機関によって案内の仕方が異なる場合があります。不明な点があれば、口座を開設している証券会社・銀行のサポート窓口や公式サイトで確認しておくと安心です。
3. 「売る・持ち続ける・買い直す」の方針を早めに考えておく
非課税期間の終了が近づいてから慌てて判断するのではなく、資金を使う予定の時期や、新NISAの非課税枠の使用状況と照らし合わせて、あらかじめ大まかな方針を考えておくことをおすすめします。判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーや税理士など専門家に相談する方法もあります。
リスクと注意点
旧NISA・新NISAいずれの制度であっても、保有している株式や投資信託には値動きがあり、元本割れの可能性は常に存在します。非課税期間の終了に伴う払い出しの仕組みを理解しておくことはリスク管理の一助にはなりますが、値下がりそのものを防ぐものではありません。また、NISA・税制に関する情報は変更される可能性があるため、実際に判断する際は金融庁や利用している金融機関の最新の公式情報を確認し、必要に応じて税理士など専門家にも相談することをおすすめします。本記事は特定の金融商品や特定の対応方法を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行い、最終的な判断はご自身で行ってください。
まとめ 「知らないうちに払い出されていた」を防ぐために
旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で保有している商品は、新NISAへロールオーバーすることができず、非課税期間が終了すると自動的に課税口座へ払い出されます。払い出し時の時価が新しい取得価格になる点、そして「売却する」「持ち続ける」「新NISA枠で買い直す」という3つの選択肢があることを理解したうえで、自分の非課税期間がいつ終わるのかを早めに確認し、慌てずに方針を考えておきましょう。長期・分散・積立という資産形成の基本的な考え方は、旧NISAから新NISAへ移行するこの局面でも変わりません。

