含み損が怖くて眠れない…評価損益(含み損益)とは?「売るまで損は確定しない」という考え方

株式投資

「保有している株が赤字表示になっていて、見るたびに気持ちが沈む…」

「このまま持っていて大丈夫なのか、今すぐ売ったほうがいいのか分からない」

結論から言うと、株価が値下がりして口座がマイナス表示になっている状態は「含み損(評価損)」と呼ばれ、売却して初めて損失として確定するものであり、保有し続けている間は「まだ確定していない数字」です。逆に値上がりしている場合は「含み益(評価益)」と呼ばれ、こちらも売却するまでは利益として実現していません。この記事では、含み損・含み益の仕組みと、値下がりを見て不安になったときにどう考えればよいかを、初心者向けに整理します。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

そもそも「含み損」「含み益」とは? 売却するまで確定しない「評価上の損益」

含み損益(評価損益)とは、株式や投資信託などを取得した価格(簿価)と、現在の時価を比較したときの差額のことです。

  • 取得価格より時価が低い → 含み損(評価損)
  • 取得価格より時価が高い → 含み益(評価益)

📰 出典:含み損益(読み:ふくみそんえき)|証券用語解説集

ポイントは、この損益はあくまで「今売ったとしたら、という仮の計算結果」にすぎないという点です。証券会社のアプリやマイページに表示される「評価損益」の欄がマイナスになっていても、それは口座から実際にお金が引かれたわけではありません。売却の注文を出して約定した時点で、初めて「実現損益」として損益が確定します。

つまり、含み損を抱えている間は、その後の値動き次第で含み益に転じることもあれば、逆にさらに含み損が拡大することもあり得るということです。裏を返せば、含み益についても「まだ手元に利益として入ってきたわけではない」という点は同じです。

なぜ「含み損」を見ると不安になりやすいのか

含み損の表示を見て不安になるのは、決して特別なことではありません。背景には次のような要因があると考えられます。

  • 自分のお金が「減っている」ように見える数字を、感情的に受け止めやすいこと
  • 値下がりの理由(一時的な相場全体の動きなのか、投資先固有の問題なのか)が分からないまま数字だけを見てしまうこと
  • SNSやニュースで「暴落」「急落」といった見出しに触れることで、実態以上に不安が増幅されやすいこと

一般的に、行動経済学の分野では「同じ金額でも、利益による満足より損失による苦痛のほうを強く感じやすい」傾向が指摘されています。含み損を見て平常心を保てなくなるのは、こうした人間の心理として自然な反応だといえます。だからこそ、感情に任せて反射的に売買するのではなく、いったん落ち着いて考え方を整理することが大切です。

含み損との向き合い方 初心者が意識したい5つの視点

1. 「売るまでは未確定」であることをまず理解する

繰り返しになりますが、含み損は売却するまで実現しません。値下がりした瞬間に反射的に売却してしまうと、その時点で損失が「確定」してしまい、その後に値を戻す可能性があったとしても取り戻す機会を自ら手放すことになります。もちろん、値を戻す保証はどこにもありませんが、「今売らなければ損が確定するわけではない」という基本を押さえておくだけでも、冷静さを取り戻しやすくなります。

2. 一時的な市場全体の動きか、投資先固有の問題かを区別してみる

値下がりの背景が「市場全体が下落する局面(相場全体の調整)」なのか、「保有している個別企業や商品固有の問題(業績悪化など)」なのかによって、考え方は変わってきます。前者であれば、指数連動型の投資信託などを長期・分散で保有している場合は、経済全体の回復とともに戻る可能性を過去のデータから確認できる場合もあります。後者であれば、なぜ値下がりしているのかという事実関係を、決算資料や公式発表など一次情報で確認する姿勢が大切です。

3. そもそもの投資方針(長期・分散・積立)に立ち返る

つみたてNISAやインデックス投資信託などを使った長期・分散・積立投資は、短期的な値下がりを前提としたうえで、時間をかけてリスクを平準化する考え方です。含み損が出ているタイミングだけを切り取って一喜一憂するのではなく、「そもそも何年後を見据えて始めた投資だったか」という当初の目的に立ち返ることが、冷静な判断につながります。

4. 感情で売買しない「仕組み」を先に作っておく

つみたて設定にしておく、値動きを毎日チェックしない、あらかじめ「生活防衛資金と投資資金を分けておく」など、感情に振り回されにくい仕組みをあらかじめ作っておくことも有効です。特に、生活費に食い込むような金額を投資に回していると、含み損が出た際の不安が大きくなりやすいため、余剰資金の範囲で投資することが前提になります。

5. 「損切りルール」を持つこと自体は悪いことではない

「含み損は確定しないから放置すればよい」という意味ではありません。個別株投資などでは、あらかじめ「〇%下落したら売却する」といった損切りのルールを自分の中で決めておき、感情ではなくルールに従って判断する考え方も一般的です。大切なのは「値下がりを見て慌てて決める」のではなく、「事前に決めておいたルールに沿って判断する」という順序です。

含み損を「実現損」にしてしまいがちなNG行動

  • 恐怖心だけで底値付近で売ってしまう(狼狽売り):下落の理由を確認せず、値下がりの数字だけを見て感情的に売却してしまうこと
  • 逆に「そのうち戻るはず」と根拠なく放置し続ける:投資先の状況が変化しているのに、当初の投資判断を見直さないまま塩漬けにすること
  • SNSの「今すぐ売れ/今が買い増しどき」といった煽りに流される:発信者の意図や状況が分からない情報を鵜呑みにして判断すること
  • 含み損を取り返そうと、根拠の薄い銘柄への「一発逆転」投資に走ること:冷静な判断力を欠いた状態でリスクの高い取引に手を出すこと

いずれも、事実に基づかない感情的な判断という点で共通しています。値動きに一喜一憂せず、事実(公式情報・決算資料など)と自分の投資方針を基準に考える姿勢が求められます。

税金の面から見る含み益・含み損

税制上も、株式や投資信託などの譲渡益は、売却して利益が確定した年に課税される仕組みになっています。上場株式等を売却して得た譲渡益は、原則として申告分離課税の対象となり、税率は所得税・住民税をあわせて20.315%です(2026年7月執筆時点。特定口座の源泉徴収ありを選択している場合は、原則として確定申告は不要です)。

📰 出典:No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)|国税庁

裏を返せば、含み益の状態では課税されず、含み損の状態でも税務上の損失として計上されるわけではありません(損益通算や繰越控除は、売却して損失を確定させた場合に利用できる制度です)。税率や制度は変更されることがあるため、最新の情報は国税庁や税務署の公式情報でご確認ください。

まとめ 数字に振り回されず、事実と自分の方針で判断する

含み損・含み益は、あくまで売却するまで確定しない「評価上の数字」です。値下がりを見て不安になるのは自然なことですが、反射的に売買を決めるのではなく、

  • 一時的な市場全体の動きか、投資先固有の問題かを見極める
  • そもそもの投資方針(長期・分散・積立)に立ち返る
  • 感情ではなく、事前に決めたルールに沿って判断する

という視点を持つことが、資産形成を長く続けるうえでの支えになります。株式投資である以上、含み益がそのまま維持される保証はなく、元本割れの可能性は常にあります。不安なときこそ、事実と自分の方針を切り分けて、落ち着いて向き合っていきましょう。

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