
「NISAで積み立てを始めたけど、その後ほったらかしでいいのかな?」

「株が上がったり下がったりするうちに、最初に決めた割合がズレてきた気がして…」
積立投資を始めると、しばらくは「放置でOK」と言われることが多いです。確かに短期での売買は避けるべきですが、定期的に「リバランス」を行うことは長期投資に欠かせない基本作業のひとつです。
結論から言うと、リバランスとは「崩れた資産配分を元の比率に戻す作業」のこと。相場の上下で自然と偏ってしまったポートフォリオを、定期的に整えることで長期的なリスク管理に役立ちます。
この記事では、リバランスの基礎から実践の手順、NISAでの考え方まで初心者向けにやさしく解説します。
※本記事は2026年時点の情報をもとに作成しています。制度・手数料等は変更される場合があるため、最新情報は各金融機関や公式サイトをご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資は元本割れのリスクがあり、自己責任で余剰資金の範囲内で行ってください。
—
そもそもリバランスとは何か
リバランス(Rebalance)とは、「資産配分(ポートフォリオ)を当初の目標比率に戻す作業」のことです。
たとえば、最初に以下のような配分で投資を始めたとします。
| 資産クラス | 目標配分 | |—|—| | 国内株式(日本株) | 30% | | 海外株式(全世界株) | 50% | | 債券・安定資産 | 20% |
しかし、1〜2年後に株式が大きく上昇すると、気づけばこうなっていることがあります。
| 資産クラス | 実際の配分(ズレた後) | |—|—| | 国内株式(日本株) | 42% | | 海外株式(全世界株) | 48% | | 債券・安定資産 | 10% |
株式の割合が増えた分、リスクも高くなっています。ここで「株を少し売って債券を買い足す」か「積立の比率を調整する」などの作業を行い、目標の30/50/20に近づけるのがリバランスです。
—
なぜリバランスが必要なのか

「株が増えたなら、そのままでいいんじゃないの?」
その気持ちはよくわかります。しかし、放置を続けるとこんなリスクが生まれます。
リスク①:知らず知らずのうちにハイリスクになっている
株式が増えるということは、それだけ価格変動の大きな資産が増えているということ。最初は「リスクを20%程度に抑えたい」と考えて安定資産を20%入れたのに、気づいたら安定資産が10%になっている——これは、想定より大きなリスクを抱えた状態です。
急落局面では、ハイリスクなポートフォリオほど損失が大きくなりやすいです。
リスク②:「高くなったものをそのまま持ち続ける」循環
相場は必ず上がり続けるわけではありません。株式が上昇して比率が増えた状態で放置すると、その後の株安局面でダメージを受けやすくなります。
リバランスには「値上がりした資産を少し売って、相対的に安くなった資産を買い足す」という効果があり、長期的には「高く売って安く買う」という原則に沿った行動になります。
—
リバランスの2つの方法
リバランスには大きく2つのやり方があります。
方法①:時間分散型(定期リバランス)
3〜6か月ごと、または1年に1回など、決まったタイミングで資産配分を確認し、ズレを修正する方法です。
- メリット:シンプルで続けやすい
- メリット:感情に流されにくい(「下がってるから怖い」でやめない)
- デメリット:相場の動きが大きいときにタイムリーに対応できない
方法②:乖離幅型(しきい値リバランス)
目標配分との「ズレ幅」があらかじめ決めた範囲(例:±5%や±10%)を超えたときに修正する方法です。
- メリット:大きな乖離が生じたときだけ動けばよい
- メリット:コスト(手数料・税金)を抑えやすい
- デメリット:常に配分を確認するチェックが必要
どちらが正解という決まりはなく、ライフスタイルや投資規模に合わせて選ぶのがよいでしょう。初心者には「年1回の定期リバランス」がシンプルでおすすめです。
—
NISAでリバランスする際の注意点
NISAを利用している場合、リバランスにはいくつかの特有の注意点があります。
📰 出典:金融庁 NISAの概要
注意①:NISA内で売却すると非課税枠が戻らない(旧NISA)
旧NISAでは、一度売却した商品の非課税枠は翌年以降に繰り越せませんでした。ただし、2024年から始まった新NISA(現行NISA)では、売却すると翌年に非課税枠が復活する仕組みになっています(翌年に枠が戻る)。
現行NISA制度(2026年時点)では、リバランスのために一部売却しても、翌年の非課税枠で再投資が可能です。ただし、制度の詳細は変更されることがあるため、最新情報は金融庁・各証券会社の公式サイトでご確認ください。
注意②:NISA口座内の売却は非課税、NISA外は課税
NISA口座内での売買は利益が非課税ですが、NISA枠外(特定口座・一般口座)での売却益には約20%の税金(所得税・住民税)がかかります。リバランスの際にどの口座の資産を動かすかによって、税負担が変わります。
注意③:積立の比率変更でリバランスする方法もある
「売却」ではなく、毎月の積立の比率を変更することでリバランスする方法もあります。たとえば、株式の比率が増えてきたら、次の積立は債券や安定資産を多めに設定することで、売却コストや税負担を抑えながら配分を調整できます。
—
具体的なリバランスの手順(ステップ形式)
初心者でも実践しやすいよう、ステップ形式で説明します。
ステップ1:現在のポートフォリオを確認する
証券会社の口座ページや運用状況の画面で、保有している各資産の時価を確認します。NISAと特定口座を合算して把握しておくとよいでしょう。
ステップ2:目標配分との乖離を計算する
最初に自分で決めた「目標の比率」と、現在の実際の比率を比較します。目安として5〜10%以上ズレていればリバランスのサインです。
ステップ3:どの方法でリバランスするか決める
- 売却して買い直す:即効性がある。NISA外では税負担に注意
- 新規積立の比率を変更する:コストを抑えやすい。ただし時間がかかる
- 追加入金して買い足す:不足している資産を新たに購入して比率を調整する
ステップ4:実行して記録する
リバランスを実行したら、日付・変更内容・変更後の配分を簡単にメモしておきましょう。次回のリバランス時の参考になります。
—
リバランスでよくある疑問
Q. リバランスは毎月必要ですか?
いいえ。短期間での頻繁なリバランスは手数料コストがかかり、逆効果になることもあります。年1〜2回程度が一般的です。
Q. どの程度ズレたらリバランスすべき?
厳密な決まりはありません。5〜10%以上乖離したら見直すという目安がよく使われます。
Q. リバランスは損になることもある?
短期的には「上がった資産を売る」ため、その後さらに上昇した場合は機会損失になることもあります。しかし長期的には、リスクを管理しながら安定した資産形成を続けるための重要な仕組みです。「確実に得をする」という保証はなく、元本割れの可能性もあります。
—
やりがちなNG行動
NG①:感情でリバランスするタイミングを決める 「最近株が下がってきたから不安でリバランスしよう」というのは、感情ベースの意思決定です。あらかじめ「3か月ごと」「10%乖離したら」などのルールを決めておくことが大切です。
NG②:リバランスのたびに資産配分の目標自体を変える リバランスの目的は「目標の比率に戻すこと」です。相場が動くたびに目標自体を変えてしまうと、方針がブレてしまいます。
NG③:短期的な損益に惑わされて途中でやめてしまう リバランスを含む長期投資は、5〜10年以上の時間軸で成果が出るものです。直近の数字だけで判断してやめてしまうと、本来の効果が得られません。
—
まとめ:リバランスは「長期投資を守る定期メンテナンス」
リバランスは、積立投資を長期間続けるうえで欠かせない「定期メンテナンス」のようなものです。
- 放置するだけでは知らないうちにリスクが増える
- 高くなった資産を一部売り、安くなった資産を買い直すことで長期的なリスク管理になる
- NISAでは売却・積立比率変更などでリバランスが可能
- 年1〜2回の定期チェックが無理なく続けられるペース
投資は始めることが最初の一歩ですが、続けるためには定期的な見直しも大切です。焦らず、長期目線で着実に資産形成を続けましょう。
—
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。制度・税制は変更される可能性があるため、最新情報は金融庁・各証券会社の公式サイト、または税理士にご確認ください。

